こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
87回目の今回も前回に引き続き税効果会計に
ついてお伝えします。
前々回のその1において税効果会計とはどの
ようなものかについて簡単にお伝えしました。
その中で、税効果会計とは
「企業会計と税法に基づく会計(以下、税務
会計とします)とのズレを企業会計に反映さ
せるための会計処理」であり、
企業の活動を適切に財務数値に表すことを目
的としている企業会計と、
企業活動から納税額の基準となる課税所得を
客観的に計算することを目的としている税務
会計との差異について、
企業会計上に適切に反映するための会計処理
のことである旨をお伝えしました。
前回のその2においては、企業会計と税務会
計の差異となる3つの要因として、①永久差
異と②一時差異、③繰越欠損金がある
ということをお伝えしました。
その3の今回は、これらの企業会計と税務会
計との差異を、税効果会計によってどのよう
に企業会計に反映させるのかについてお伝え
します。
説明の便宜上、減価償却費の償却超過額のよ
うな②一時差異からご説明します。
例えば、企業会計上の利益が100であった期
において、当該企業会計上の利益の計算の中
に、減価償却超過額が10あった場合には、
その10は損金算入できないため、企業会計上
の利益100に費用10をプラスして税務会計上
の課税所得は110(=100+10)となります。
当期においては、当該10の超過額は損金算入
が認められず課税所得を増加させることとな
るため、税額を増やすこととなりますが、
減価償却資産を将来において除売却した際に
は当該10は損金算入が認められることになり、
課税所得を減らす効果があります。
将来の課税所得を減らす効果を当期の企業会
計に反映させるため、将来の税金減少額を当
期の企業会計に反映させるのが税効果会計で
す。
数値で表すと・・・、
企業会計上の利益 100(※1)
将来の税金減少額 3(※2)
税効果考慮後利益 103(※1+※2)
となります(※2:税率を30%と仮定、10×30
%=3)
仕訳としては以下のようになります。
繰延税金資産 3 / 法人税等調整額 3
このように、当期に発生した減価償却超過額
(一時差異)による将来の税金が減少する効
果を当期の利益に反映させることが出来ます。
③の繰越欠損金についても利益への影響及び
仕訳は同様となります。
最後に、役員給与の損金不算入額のような①
永久差異については、企業会計と税務会計と
の差異が発生したまま永久に解消しない差異
であるため、
税効果会計の対象とはなりません。
すなわち、企業会計上の利益が100あった期
に、その利益計算の中に損金算入出来ない役
員給与が10あった場合には、税務上の課税所
得は110(=100+10)となます。
この差異は将来解消することはなく、将来の
税金を減らす効果はないため特に税効果会計
として処理する必要はありません。
上記の例では、金額が僅少なためその効果が
薄いように感じられるかもしれませんが、実
際の企業活動においては
何億~何百億の一時差異等が発生することも
あり、そのインパクトは決して無視出来ない
ものとなっているため、税効果会計が導入さ
れているのです。
Comments