こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
42回目の今回は、前回お伝えした、コロナの
休業要請により発生した損失を特別損失に計
上できるか否かの続きとなります。
実際に、コロナ関連の特別損失を計上してい
る企業は以下の通り身近な企業でも結構あり
ます。
吉野家
不二家
JAL
さて、前回のメルマガでは・・・、
<休業要請による損失は特別損失に計上できる?~新型コロナウイルスが会計に与える影響~>
経営財務 No.3478 (2020年10月19日 Webでの閲覧は会員のみ)
との記事があり、
・上場企業の2020年4~6月期決算において,
従来は見られなかった決算処理が相次いで発
表された
・新型コロナウイルスの影響による店舗の休
業や工場の稼働率低下に伴うコストを特別損
失に計上するというもの
・日本経済新聞によれば,上場企業2,088社
(金融除く)の特損は合計7,000億円強と,
過去5年で最も多い
・特別損失は日常反復的に行われる会社の営
業活動や金融活動以外から発生した臨時的な
損失のうち,
会社の企業規模等から勘案して金額的規模の
大きな損失のこと
・ただし、コロナの影響だからと言ってなん
でもかんでも特別損失に計上して良いわけで
はない
・なぜなら、どこまでが新型コロナウイルス
の影響によるものかの見極めが難しいから
という事をお伝えしました。
では、今回リンクを記載したような企業はど
のような判断で特別損失を計上したのでしょ
うか?
実は、今回の未曾有の事態に対して日本公認
会計士協会は
「新型コロナウイルス感染症に関連する監査
上の留意事項(その4)」(以下,「留意事
項」)を公表しています。
留意事項の内容は
「政府や地方自治体による要請や声明等によ
り,
・店舗の営業,イベントの中止によって営業
停止期間中に発生した固定費や
・イベントの開催の準備又は停止のために直
接要した費用,
・工場の操業を停止又は縮小したときの異常
な操業度の低下による製造原価の上昇分
は特別損失に計上することを認める」
というものです。
すなわち、「政府や地方自治体の要請」とい
う客観的な要因と
「営業停止,操業停止等の対象期間」等の特
定により,当該期間に対応する固定費等の区
分把握を可能にしています。
このような基準を設けることにより、特別損
失計上が可能なものを明確にしているのです。
これにより、本来営業費用に計上すべきもの
を特別損失に紛れ込ませる等の方法で
営業利益をかさ上げし、経営がうまくいって
いるかのように見せかけることの無いよう、
釘を刺しているのです。
(なお、上記の留意事項は日本基準適用会社
にのみ有効ですので、IFRS適用会社には適用
されません。)
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