こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
63回目の今回は先週発表された日銀短観につ
いてお伝えしようと思います。
<景気「K字型」鮮明、製造・サービスで明暗3月日銀短観>
2021年4月1日 日経電子版
要約すると・・・、
・日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経
済観測調査(短観)では、製造業の景況感が
大幅に改善した
・製造業で景況感が「良い」と答えた企業の
割合から「悪い」の割合を引いた業況判断指
数(DI)は大企業製造業がプラス5
・マイナス5を見込んでいた市場予測を大き
く上回り、19年9月のコロナ前の水準を回復
した
・一方で非製造業は持ち直しの鈍さが目立ち、
半導体不足など供給制約の問題で製造業の先
行きには懸念が出ている
・大企業非製造業の業況判断DIはマイナス1
・前回から4ポイント改善したものの、コロ
ナ前の19年12月がプラス20だったことを踏ま
えると、本格回復にはほど遠い
というもの。
前回の2020年12月の日銀短観が出た際にもお
伝えしましたが、簡単にご説明すると日銀短
観は以下のようなものです。
①日銀が全国の企業約1万社を対象として、3
か月ごとに実施しているアンケート調査
②調査項目は、
(1)「企業が自社の業況や経済環境の現
状・先行きについてどうみているか」などの
項目(判断項目)
(2)「売上高や収益、設備投資額といった
事業計画の実績・予測値など」(年度計画)、
(3)物価見通し
(4)新卒者採用状況等々
③ ②(1)の「自社の業況」についての回答
から作る「業況判断DI」((注)DI=diffusi
on index)が最も注目されている
④「業況判断DI」は「自社の業況」につき
『良い』から『悪い』と答えた企業の構成比
(%)を引き算した数値
⑤景気が良いとプラス方向に、景気が悪くな
るとマイナス方向に振れる。
⑥このため、業況判断DIを3か月ごとにつな
いでグラフ化すると、景気の波が読み取れる。
短観は3カ月に1度、日銀が全国の約1万社に
景況感や収益見通し、設備投資計画などを聞
き取る調査で、
対象が幅広く速報性も高いことから、景気の
現状や先行きを読む材料として注目されてい
るものです。
上記記事にもありますが、今回の製造業の回
復はコロナ前の水準まで戻っています。
その要因として、先に回復をしていた米中経
済からの需要や、
コロナの影響で2020年は手控えていた設備投
資が徐々に再開されてきている、という点が
挙げられます。
一方で、人同士の接触が想定される非製造業
については、本格回復には程遠い状況です。
コロナ前の日本経済は、インバウンドにより
非製造業が牽引していたと言う点も、
コロナによりインバウンドが期待できない現
在の低いDIに表れていると言えるでしょう。
このように、回復する部分と停滞する部分に
分かれ二極化が進むこと「K字型」と呼ぶそ
うです。
英国や米国でも昨年はK字化が起きていまし
たが、今年に入ってワクチン接種が進み非製
造業が回復してきています。
3月末時点で全人口の40%以上が1度は接種を
受けており、ワクチンパスポート制度も打ち
出している英国等に比べて、
日本はワクチン接種が始まったばかりで非常
に出遅れていると言えます。
日銀短観は、このワクチン接種の遅れが景気
回復の遅れに直結していることを表している
と考えられます。
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