こんにちは
大門綜合スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
34回目の今回は、企業における新型コロナウ
イルス感染症対策で、にわかに注目されてき
ている電子契約についてお伝えします。
ご存知のように新型コロナウイルス対策とし
て在宅勤務が推奨されていますが、その障害
として日本の判子文化が指摘されています。
契約書をはじめとする各種文書に判子で押印
する必要があり、そのためだけに出勤が必要
な場合があることから、
在宅・テレワークを推進する観点から、この
ような押印手続を回避する電子契約の導入を
検討する企業が急増しているというものです。
「脱ハンコ」米ドキュサインが攻勢 コロナで競争激化
2020/6/11 日経電子版
では、電子契約にはどのようなものがあり、
どのようなメリットデメリットがあるのでし
ょうか。
先日、会計関連の雑誌において詳しく解説さ
れた記事が掲載されていましたので、こちら
の記事に沿ってお伝えします。
「新型コロナウイルス感染症下における電子契約の最新動向」
-会計・監査ジャーナルVol.32 No.9 を電子契約とは2020年9月1日 森・濱田松本法律事務所 佐々木 奏-
要約すると・・・、
(上記の雑誌は購入しないと読めません)
結論としては、
・契約当事者双方が電子署名を用い
・タイムスタンプも付与する
という電子契約を採用することが最も厳格な
方法と言えますが、
・企業間の契約書においては、その契約の重
要度等に応じて締結方式を使い分けることも
有用である
ということになります。
上記結論に至る経緯について要約してお伝え
します。
1.電子契約とは-電子契約の有効性
そもそもですが、電子契約とはどのようなこ
とをいうのでしょうか。
民法には「契約の成立には、法令に特別の定
めがある場合を除き(*)、書面の作成その他
の方式を具備するこをと要しない」
(民法522条2項)
との条文があり、契約の成立には必ずしも書
面を作成する必要はないのですが、その点、
ご存知でしたでしょうか。
そのため、契約書は必ずしも文書での作成で
はなく、口頭での合意や、電子文書で作成し
ても有効な契約とすることが可能なのです。
ただし、上記の(*)「法令に特別の定めがあ
る場合」があり、これらの場合には書面等の
作成が必要です。
書面等の作成が必要な場合は以下の2パター
ンとなります。
①電子文書での作成のためには相手方の承諾
などを要する契約類型
②電子文書での作成は認められず、書面によ
る作成が必須となる契約類型
①に該当する契約類型としては、保証契約や、
書面による消費賃貸契約、建築請負契約など
があり、
これらの契約は相手方の承諾があれば電子文
書に代えることができます。
②に該当する契約類型としては、定期賃貸契
約や、宅地建物売買等媒介契約などがあり、
これらの契約書は相手方の承諾があっても電
子化することが出来ません。
逆に言えば、上記①、および②以外の契約書
であれば、電子契約により有効な契約を締結
することは可能となるのです(口頭での契約
ですらOK)。
次回は、電子契約のメリットについてお伝え
します。
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