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大門綜合会計事務所スタッフです。
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第196回の今回は、上場企業における「継続
企業の前提に関する注記(GC注記)」および
「継続企業に関する重要事象」の最新動向に
ついてご紹介します。
GC注記・重要事象の現状
東京商工リサーチによると2024年9月中間決
算を発表した3月期決算の上場企業約2,300社
のうち、決算短信で「継続企業の前提に関す
る注記(GC注記)」を記載したのは23社(前
年同期24社)でした。また、GC注記に至らな
いものの、事業継続に重要な疑義を生じさせ
る事象がある場合に記載される「継続企業に
関する重要事象」は44社(前年同期53社)と
報告されています。
これらを合わせた67社は、コロナ禍以降の
ピークであった2022年3月期本決算(94社)
と比較すると約3割減少しており、企業の業
績回復傾向が見られるものの、未だ注意が必
要な状況が続いています。
業績不振が主な要因
GC注記・重要事象を記載した67社のうち、約
76%にあたる51社が「本業不振」を理由とし
ています。これは、売上減少や採算性の低迷
によって赤字経営が常態化している企業が依
然として多いことを示しています。
その他の主な要因としては、「資金繰り悪
化・調達難」を理由とした企業が11社(約16
%)、「借入過多・財務悪化」が10社(約15
%)と報告されています。これらは、いずれ
も企業の収益構造や財務体質に課題があるこ
とを反映しています。
業種別・上場区分別の状況
業種別では、製造業が29社(約43%)と最多
で、次いで小売業が11社(約16%)、サービ
ス業と情報・通信業が各9社(各約13%)とな
っています。特に製造業では、中堅・新興の
メーカーが多く含まれており、競争環境の変
化や資金繰りに課題を抱えていることがうか
がえます。
上場区分別では、東証スタンダードが44社
(約66%)と大半を占め、次いで東証グロー
スが17社(約25%)、東証プライムが4社(約
6%)と続いています。特に、規模の小さい中
堅企業が多いスタンダード市場の企業におい
て、課題が顕著に現れています。
GC注記や継続企業に関する重要事象の記載企
業数は減少傾向にありますが、それでも一定
数の企業が本業の不振や資金繰りの悪化など
を理由に、事業継続への疑義が指摘されてい
ます。特に中堅企業や新興企業では、経営環
境の変化や資金調達環境の悪化が直撃し、事
業運営に厳しい状況が続いています。
このような状況下で、GC注記や重要事象の記
載は、企業の信用力や経営の信頼性に影響を
与え、さらなる課題を引き起こす可能性があ
ります。引き続き、企業の動向や対応策につ
いて注視していく必要があるでしょう。
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過ごしください。
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