こんにちは
大門綜合スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
第27回目の今回は、IFRSのリース基準(IFRS1
6号)のお話はまた横において新聞記事のお
話をしたいと思います。
先週、以下のような記事がありました。
<デジタル投資 格差鮮明 積極企業、落ち込み小さく>
2020/7/7 日経電子版
要約すると・・・・、
・上場企業の2020年3月期の純利益は前の期
比31%減と、最終赤字に転落した09年3月期以
来の落ち込みとなった
・新型コロナウイルスの拡大前から抱えてい
た日本企業の弱みであったデジタル投資の遅
れがあらわになった
・無形固定資産が有形固定資産のどのくらい
に当たるかを示す「無形固定資産倍率」が低
いほど業績の落ち込みが大きい
・デジタル投資はこれまで労働投入量縮小に
よる生産性改善を狙ったものが多かった
・今後は「デジタルトランスフォーメーショ
ン」により、新商品開発やビジネスモデル変
革等、付加価値の拡大が重要となる
・海外と比べると日本は出遅れており、デジ
タル投資の遅れが取り戻せなくなりつつある
この記事の要点は、デジタル投資を多くした
日本企業の業績が良く、デジタル投資をしな
かった企業の業績が悪いということです。
記事にもありますが、「無形固定資産倍率」
とはソフトウェアや特許、著作権、M&A(合
併・買収)に伴うのれん等の無形固定資産が
有形固定資産のどのくらいの割合を占めてい
るかを表す指標です。
ソフトウェアなどのデジタル投資に積極的な
企業においては、当然この指標が高くなりま
す。
実は、このデジタル投資は、日本と米国では
非常に大きな差があります。
米国のデジタル投資額が年70兆円程度に対し
て、日本は17兆円程度となっており、米国の
四分の一以下となっています。
この結果、米国では上位5社(GAFAM)で年2
0兆円ものフリーキャッシュフローを挙げる
ほどデジタル投資のリターンを享受しており、
業種を問わずに生産性向上が年約2%程度続い
ています。その多くがデジタル投資の結果と
みられています。
上記記事は、これと同じこと(デジタル投資
すれば儲かる)が日本でも起きていることを
示していると言えるでしょう。
日本企業は米国企業と比較してシステム投資
に後ろ向きであると言われます。
すなわち、日本企業の経営者はデジタル技術
を活用して新たな物を作りだすことよりも、
コスト削減、人員削減をすることを好みます。
日本においてRPA(ロボティック・プロセ
ス・オートメーション)が人気なのはそのた
めです。
しかし、米国のようにデジタル投資を、「新
しい商品やサービスを開発し、新しいビジネ
スモデルを生み出す」ために行うことにより、
新しい事業を始めて、売上を伸ばし、従業員
の賃金をあげていくことが、日本経済の向上
につながる施策の一つと考えられます。
そのためには、日本企業の経営者が攻めのデ
ジタル投資を進めて行くことが必要なのでは
ないでしょうか。
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