こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
75回目の今回は前回と繋がる部分があります
が、サステナブルファイナンスについてお伝
えします。
前回お伝えした、SDGsやESGと並んで使われ
る言葉としてサステナブルファイナンスとい
う言葉があります。
サステナブルファイナンスは「Sustainable
Finance」:「持続可能な社会の実現のため
の金融」と訳せますが、
一般的には金融機関が企業に投融資をする際
に、自己資本利益率(ROE)などの財務的要
因だけでなく、
非財務的要因であるESG等も考慮して検討を
行うというものです。
一般的に、財務指標が良い企業であっても、
非財務要因に問題があれば、
財務指標には見えない企業価値を毀損するネ
ガティブな要素があると言えます。
例えば、エネルギー関連企業の場合、好景気
時にはエネルギー消費が順調となり、高収益
となることが期待されます。
しかし、資源価格の高騰や地政学リスクの発
現、化石化燃料への規制等によりエネルギー
資源の利用に影響が出れば、
収益は悪化し、投融資する金融機関も不良債
権リスクに直面します。
このようにサステナブルファイナンスは、財
務指標だけではなく、
財務指標以外の環境要因や社会的な要因を把
握・評価すべきという意味で非財務金融とも
呼ばれます。
このサステナブルファイナンスの推進に向け
た諸施策について、有識者による検討が金融
庁の主導のもとなされており、
先月、その報告書が公表されました。
<サステナブルファイナンスの推進に向けた諸施策について>
https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210618-2.html
令和3年6月18日 金融庁
こちらの報告書を要約すると、
①サステナブルファイナンスは、民間セク
ターが主体的に取り組むとともに、政策的に
も推進すべき
②金融受託者である金融機関が受託者責任を
果たす上で、ESG要素を考慮することが望ま
しい
③比較可能で整合性のとれたサステナビリテ
ィ報告基準の策定に向け、日本としてIFRS
財団における基準策定に積極的に参画すべき
④コーポレトガバナンス ・コードの改訂を
踏まえ、気候変動開示の質と量の充実を促す
と共に、国際的な動向を注視しながら検討を
継続的に進めていくことが重要
⑤金融庁において、ESG評価・データ提供機
関に期待される行動規範のあり方等について
、議論を進めることを期待
⑥諸外国における取引所の取り組み例を踏ま
え、グリーンボンド等の情報が得られる環境
整備やESG関連債の適格性を客観的に認証す
る枠組みの構築を期待
というもの。
上記から読み取れる今後の企業に関連する動
きとしては、
①、②より、民間企業、特に金融機関が主体
的にサステナブルファイナンスに取り組むべ
きという提言であり、
③~⑤より、コーポレートガバナンスコード
のような行動指針が金融庁主導によって策定
されるであろうこと、
及び、サステナビリティ報告書の提出が企業
に求められるようになるであろうことが想定
されます(現在は任意)。
このように、今後は企業の財務指標だけでは
なく、非財務情報に関する報告書も公表する
必要が出てくると想定されるため、
ESG等の非財務情報もより考慮した、透明性
の高い経営が企業に求められてくると考えら
れます。
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